ハーブウォーターとは?おすすめの使い方と使用する際の注意点を解説

人々は古くから、花や木々など植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を用いたアロマテラピーを行ってきました。しかし、精油は植物の香り成分を凝縮した高濃度の液体であるため、希釈せずに使うと肌トラブルなどを引き起こすおそれがあります。
そこで近年注目されているのが、ハーブウォーターです。精油を抽出する過程で生じるハーブウォーターは、含まれる芳香成分が微量であるため、そのまま使用することができます。本記事では、ハーブウォーターの概要とおすすめの使い方、使用する際のポイントや注意点も解説します。
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ハーブウォーターとは?
ハーブウォーターとは、ハーブやスパイスなどの芳香性のある植物から精油を蒸留する過程で生じる副産物です。原料植物の種類によって、健康や美容など様々な効果が期待できます。
ハーブウォーターに含まれる芳香成分は0.0006%~0.55%程度とごく微量です。そのため、使用する際に希釈する必要がありません。また、禁忌や注意の心配が少ないので、乳幼児や高齢者、妊娠中や授乳中の人やペットがいる家庭でも、安心して使うことができます。
ハーブウォーターの歴史
ハーブウォーターの歴史は古く、8世紀ごろから薔薇のハーブウォーターが造られていたといわれています。中世ヨーロッパでは錬金術が盛んに行われており、ハーブウォーターも発展を遂げました。18世紀の最盛期には、200種類以上ものハーブウォーターが使われていた記録もあります。
19世紀に入ると、ハーブウォーターより精油を得ることが主な目的になり、使用されることは少なくなりました。しかし近年、通常の精油よりも刺激が少なく手軽に使いやすいことから、再び注目を集めています。
ハーブウォーターの別名
ハーブウォーターにはさまざまな別名があり、以下の名称で呼ばれる場合もあります。
- 芳香蒸留水
- フローラルウォーター
- アロマウォーター
- ハイドロゾル
- 芳香植物の名称+ウォーター(ローズウォーター、ミントウォーターなど)
ハーブウォーターの作り方
ハーブウォーターは、自宅で精製することも可能です。材料と作り方は下記のとおりです。
材料
- 好みのドライハーブ 30g
- 精製水 500ml
- フタ付きの鍋
- 耐熱容器
- 氷(保冷剤)
- 保存容器
作り方
- 鍋の中央に耐熱容器を置き、周りにハーブを敷き詰める
- ハーブに精製水を注ぐ
- 鍋のフタを逆さにしてかぶせる
- フタの上に氷(保冷剤)を乗せる
- 30分~45分弱火で加熱する
- 耐熱容器に溜まったハーブウォーターを清潔な保存容器に移し替える
ハーブウォーターの使い方

ハーブウォーターは、生活のさまざまな場面で役立ちます。ここからは、おすすめのハーブウォーターの使い方9つを紹介します。
- 化粧水
- フェイスパック
- ボディケア
- ヘアケア
- 汗ふきシート
- 赤ちゃんのおしり拭き
- ルームスプレー
- 除菌・抗菌
- 虫除けスプレー
化粧水
ハーブウォーターは、そのまま化粧水として使用できます。敏感肌や乾燥肌、シミやシワの改善など、肌の状態や目的に合った種類のハーブウォーターを選ぶとよいでしょう。
フェイスパック
市販のシートマスクやコットンにハーブウォーターを染み込ませれば、フェイスパックになります。ハーブウォーターには芳香成分も含まれるため、リラックス効果も期待できます。
ボディケア
ハーブウォーターは顔だけでなく、身体にも使うことができます。抗炎症作用を持つラベンダーやカモミールを原料とするハーブウォーターは、肌や筋肉の炎症や痛みを鎮める湿布としても使えます。
ヘアケア
髪の毛や頭皮のケアにも、ハーブウォーターがおすすめです。お風呂上りにスプレーしたり、頭皮マッサージをする際に取り入れたりすることで、髪や頭皮を保湿してトラブルの予防や改善が期待できます。また、髪を整える際にハーブウォーターを使えば、ほんのりとアロマの香りを漂わせることができます。
汗ふきシート
ウェットティッシュにハーブウォーターを染み込ませて、汗拭きシートとして使えます。とくに暑い季節には、冷却作用があるミント系のハーブウォーターがおすすめです。汗のニオイが気になる場合は、細菌の繁殖やニオイ物質の発生を防ぐ効果が期待できるティーツリーを選ぶとよいでしょう。
赤ちゃんのおしり拭き
精油のように強い作用がないハーブウォーターは、赤ちゃんのおしり拭きに適しています。防腐剤などの化学成分も含まれないため、肌が敏感な赤ちゃんのボディケアに使うことができます。とくにラベンダーのハーブウォーターは、おむつかぶれやあせもなどのケア、安眠を誘う効果が期待できるのでおすすめです。
ルームスプレー
ほのかなアロマが香るハーブウォーターは、ルームスプレーにも最適です。除菌効果のある植物が原料のものは、空間の除菌にも役立ちます。部屋全体にスプレーするのが大変な場合は、加湿器に入れると手軽に部屋中にほのかな香りを漂わせられます。ただし、加湿器によってはハーブウォーターが使えない場合があるので、使用前に説明書を確認しましょう。
除菌・抗菌
除菌・抗ウィルス作用が期待できるラベンダーやティーツリーのハーブウォーターは、空間の除菌や感染症対策におすすめです。外出前に衣服に軽くスプレーをすれば、衣服に細菌やウイルスが付着するのを防ぎ、家の中に病原菌を持ち込むリスクの軽減が期待できます。
虫除けスプレー
虫が苦手とするユーカリやミントを使用したハーブウォーターは、虫除けスプレーとして使うことができます。ハーブウォーターはペットにも安心して使えるため、ペットと散歩に出かける際の虫対策にもおすすめです。ただし、ペットの種類や健康状態によっては使えない場合もあるので、使用前に獣医師に相談しましょう。
ハーブウォーターを使用する際のポイント・注意点
ハーブウォーターを使用する際は、以下のポイントに注意が必要です。
- 肌に使う場合は「化粧水」の表示があるものを選ぶ
- 開封後は製品に合った方法で保管する
肌に使う場合は「化粧水」の表示があるものを選ぶ
ハーブウォーターは、製品によって想定されている用途が異なります。そのため、ハーブウォーターを購入する際は、使用目的に合った製品を選ぶことが大切です。とくに、化粧水やボディローションとして肌に使う場合は、必ずラベルに「化粧水」の表示がある化粧品認可を受けたものを選びましょう。表示がない製品を肌に使うと、肌トラブルにつながるおそれがあります。
開封後は製品に合った方法で保管する
ハーブウォーターの主成分は水であるため、精油と比べると傷みやすいデメリットがあります。市販のハーブウォーターの中には、保存料や防腐剤が添加されているものもありますが、開封後は冷蔵庫で保管して、早めに使い切りましょう。また、開封後はできるだけ雑菌が入らないように注意が必要です。使用前に手指を清潔にすることを心がけましょう。
ハーブウォーターで毎日の生活をより豊かなものに
ハーブウォーターとは、精油を抽出する際に発生する副産物です。含まれる芳香成分は非常に僅かであるため、精油ほど強い香りや作用はありません。しかし、禁忌や注意事項が少ないため、小さな子どもや妊娠・授乳中の人や、ペットがいる家庭でも安心して使うことができます。また、使用の際に希釈する必要がないので、気軽に使えることもメリットです。
ハーブウォーターは化粧水やルームスプレーなど、さまざまな使い方があります。ぜひハーブウォーターを取り入れて、豊かな生活と心身の健康に役立ててみてください。